新住所登記と現住所登記(旧住所登記)のメリットデメリット。知らないと数百万単位で損をする!?

不動産売買契約を締結し、住宅ローンの本審査が承認すると、次の手続きは銀行と「金銭消費貸借契約」を締結することになります。

購入物件の住所である新しい住所にて金銭消費貸借契約し、新住所で所有権移転をするのか、あるいは今住んでいる現住所にて金銭消費貸借契約し、現住所のまま所有権移転登記をするのか、という質問を銀行から質問されるかと思います。

新住所登記と現住所登記、どちらが良いのを知らずに登記をしてしまうと、数百万円も損をしてしまう場合があるのです。不動産会社から「手続きも簡単で売却する時の住所変更登記をする必要が無くなり、費用を節約できる。

新住所登記で良いですか?」と不動産会社の営業マンから言われるままに新住所登記をした場合、最悪の事態を招く場合があるのです。

大切な財産を守るためにも、本記事でしっかりとメリットデメリットを把握し、ご自身の状況に適した選択をしてください。

新住所登記と現住所登記とは

新住所登記とは、購入物件の引き渡しを受ける前に住所変更をし、新しい住所にて所有権移転登記をするということです。購入する物件、もしくは購入した物件の登記簿謄本の甲区(権利関係)をご覧いただくと、所有者の名前と、住所が記載されております。

登記簿謄本の甲区には、歴代の所有者の情報が、上から古い順に記載されており、後列になるほど新しい情報となります。購入する物件の住所と、甲区に記載のある所有者の住所が同一の場合、現在の所有者は新住所登記の手続きを経て所有権移転登記をしたということが分かります。

一方、物件の住所とは異なる住所が書いてある場合は、現在の住まいではなく、前に住んでいた住所で登記をしたということになります。

つまり、現住所登記(旧住所登記)ということです。所有権移転登記には、新しく所有者になる方の住民票が必要になり、住民票に記載のある住所が登記簿謄本に記載されるという仕組みです。新住所登記は、購入先の住所に変更した後の、変更後の住民票を法務局に提出し登記をしたということです。

新住所登記と現住所登記(旧住所登記)のメリットデメリット

表にまとめましたので下記図をご覧ください。

それぞれメリット、デメリットがありますので、もう少し詳しく説明をしていきます。

新住所登記のメリット

メリット1

登録免許税の軽減措置の適用を受けるためには、購入物件を専ら住居として使用するという証明書(専用住宅証明書や、住宅用家屋証明書といわれる。本記事では住宅用家屋証明書と呼ぶ)が不要になるため、用意する書類が減る。

登録免許税の軽減措置を適用するには、下記の条件を満たす必要があります。
(1)所有権の登記、保存登記をする者が専ら居住の用に供する家屋であること。
(2)住宅の新築または引き渡しから1年以内に登記申請をすること。
(3)床面積の合計が(実測ではなく登記簿上で)50㎡以上であること。
(4)市町村が発行する住宅用家屋証明書を取得していること。
(5)中古住宅の場合で、木造の場合は20年以内に建築された物件であること。また、マンションは25年以内に建築された物件であること。もしくは、築年数に限らず、「耐震性を有することの証明書」を添付すること。

上記の条件を満たす物件の場合、登録免許税の軽減措置の適用を受けることが出来る為、登記費用が安くなります。

上記の(4)に記載があるように、登録免許税の軽減措置の適用を受けるためには、住宅用家屋証明を取得する必要があり、新住所登記の場合は特に追加で書類を用意する必要なく、担当する司法書士に任せておけば、自動的に軽減措置の適用をしてくれます。

不動産購入をすると用意しないといけない書類の多さに驚かれる方が多いですので、用意しなければならない書類が1つでも減ると、ちょっと得した気分になりますよね。

メリット2

購入物件を将来的に売却するときに、住所変更登記が不要になるため、登記費用約2万円が節約できる。

購入するときから、将来売却するときのことまで考えられないと思いますが、人生何があるか分かりません。新住所登記は物件の引き渡しを受ける前に住民票を移動するだけで、2万円程度お得になるということであれば利用しない手はありませんね。

しかし、ここで1点注意点があります。行政の考えでは、引っ越しを完了し実際に住んでいなければ住所変更をすることは原則としてできないのです。確かに、実態にそぐわない申請を行政が認めるのはおかしいですよね。

一方、司法では登録免許税の軽減措置を受けるためには購入先の住所が記載されている住民票の提示が1つの要件となっています。これを、司法と行政のギャップと呼んだりします。

とは言いつつも、行政側も暗黙の了解というものがあり、申請者から引っ越しは既に完了しているということを口頭で伺えさえすれば特に問題になることはなく、住所変更は受理してくれます。

もちろん、まだ引っ越しはしていないと正直に話してしまえば、引っ越しをしてからまた申請しに来てください、と門前払いを食らう場合がありますのでご注意ください。

新住所登記のデメリット

デメリット1

銀行との金銭消費貸借契約締結までに住所変更をする必要があるため、売買契約から引き渡しまでの期間が短い場合、手続きが間に合わなくなる。

住宅ローンを利用する場合には、住宅ローンの本審査承認後に、銀行と金銭消費貸借契約を締結する必要があります。新住所登記をする場合は、金銭消費貸借契約を締結する段階で住民票や印鑑証明書に記載のある住所を新住所にする必要があります。要するに、銀行との契約書に新しい住所を記入し、新住所にて契約をする必要があるということです。

一方現住所登記の場合であれば、住宅ローンの本審査の時に多くの金融機関から住民票の提出を要求されます。現住所登記の場合は住所変更をする必要が無いため、本審査の提出書類を準備するときに、銀行との契約用と併せて登記用の住民票と印鑑証明書も合わせて取得してしまえば、役所に出向く回数が減るというものですね。

当然、新住所登記の場合は役所に1回多く出向かなければならないため、不動産の売買契約から引き渡しが短い取引の場合、新住所登記を諦めなければならないこともあります。特に新築物件で完成している場合、不動産の売買契約から引き渡しまで2週間から3週間の間で完了してください、と条件が付く場合があります。

新住所登記を予定している方は、1カ月程度の猶予を確保すると良いでしょう。

デメリット2

住宅ローン控除の適用を目的として、耐震補強工事を行う場合、入居開始までに改修工事を実施し耐震基準適合証明書を取得する必要がある。この制度を利用する場合には新住所登記をしてしまうと制度の対象外となる。もちろん、住宅ローン控除は受けられなくなる。

新住所登記と現住所登記を誤ると、数百万円損をするとお伝えしましたが、住宅ローン控除を受ける予定がある方は要注意となります。非課税物件(所有者が個人)の場合、住宅ローン控除を受けると10年間で最大200万円の所得税と住民税が還付されます。

しかし、非耐火建築物、いわゆる木造住宅で築年数が20年経過しており、耐震補強工事をして耐震基準適合証明書を取得する必要があるケースでは、新住所登記をしてしまうと、多額のお金をかけて補強工事をしたのにも関わらず、本来の目的である住宅ローン控除の制度が使えなくなってしまうのです。

工事費用で200万円、控除できるはずの200万円と合わせて400万円の損失となります。

弊社イエツグでも、耐震補強工事のご相談を受けますが、新住所登記をしてしまった以上もうどうにもすることもできないのです。

耐震基準適合証明書を取得し、住宅ローン控除の適用を受ける予定の方はくれぐれもご注意ください。

現住所登記のメリット

メリット

銀行との契約までに住所変更をする必要が無いため、住宅ローンの本審査の申請の際に住民票と印鑑証明書を登記の分まで予め取得ができるので、役所に行く手間が1回省ける。

新住所登記のデメリットで相対する内容の為ご説明をしましたが、現住所登記のメリットは役所に行く手間が省けるというぐらいしかありませんね。

現住所登記のデメリット

デメリット1

登録免許税の軽減措置の適用を受けるためには、住宅用家屋証明書の取得が必要。その為に、賃貸住宅に住んでいる場合は賃貸借契約書を、持家に住んでいる場合は売却物件の売買契約書もしくは媒介契約書(売却中であることの証明書)を用意する必要がある。また、引き渡し後2週間以内に住所変更をしなければならない。

そもそも住宅用家屋証明書は、今度買うお家は投資物件などではなく、専ら自分たちが住むためのお家ですから、事業用で所有する人たちより税金面で優遇してくだいねというものです。

もちろん、購入する物件に住む為に買うとしても、不動産購入時に既に別の持家がある場合は、セカンドハウスの扱いとなってしまいます。セカンドハウスの場合は生活する上で必ずしも必要ではないため、当然事業用の不動産と同程度の税金を頂きますよという理屈です。

そのために、現住所登記をするのであれば、現在住んでいるお家が持家ではなく、賃貸物件であることの証明が必要ですし、持家だとしたら、既に売却の契約が終了している、もしくは売却活動をしており、不動産会社と媒介契約を結んでいるという証明が必要となるのです。

ここで1点注意点がありますが。賃貸に住んでいる場合は賃貸借契約書を用意する必要がありますが、賃貸借契約書ではなく、更新の契約書を提出されるお客様がいらっしゃいます。この更新の契約書では住宅用家屋証明書を取得できない行政庁もありますので、契約書の中でも一番古い賃貸借契約書を用意してください。

もし万が一紛失してしまった場合、賃貸の契約をした不動産会社に問い合わせをして再発行をしてもらってください。住宅用家屋証明の取得のための賃貸借契約書は、複写でも問題はありませんのでご安心ください。

デメリット2

将来的に購入物件を売却するときに、登記上の住所が昔住んでいた住所のままの為、新しい所有者に所有権を移転するためには、今住んでいる住所に変更する必要がある。そのため住所変更登記費用が約2万円余計にかかる。

将来自宅を売却する際に、現在住んでいる住所の記載がある印鑑証明書を法務局へ提出する必要があります。印鑑証明書に記載のある住所と、不動産登記簿謄本に記載のある住所と必ず一致していなければ、新しい所有者に対して所有権の移転登記ができません。要するに、不動産を売ろうにも売れないというわけなのです。

そこでどうするかというと、住民票には前の転出元の住所の記載がありますので、1回の引っ越しであれば前に住んでいた住所と、今の住所が一致するため、簡単に住所変更登記をすることが出来るのです。

もちろん、司法書士に依頼をした場合は、住所変更登記として2万円程度がかかります。印鑑証明書と前に住んでいた住所と、今住んでいる住所と繋がりを証明するために住民票を提出すればよいのです。

何回も引っ越しをしている場合は、登記簿謄本に記載のある住所から現在の住所とのつながりが、1枚の住民票では分からない場合もあります。その場合は戸籍の附票を取得する必要がありますのでご注意ください。

中には住所変更登記をご自身で行われる方もいらっしゃいます。不可能ではありませんが、用意する書類が多いため、初めて行う場合はハードルが高いです。

司法書士へ依頼をせず、ご自身で手続きをする場合は1個の不動産につき1000円の収入印紙代で手続きをすることが出来ます。戸建の場合は土地と建物で合計2個の不動産となりますので、2000円の収入印紙で住所変更登記をすることが出来ます。

何れにしても余計な手続きが増えることには変わりありませんので、現住所登記をする場合は自宅を売却する際にあとあとひと手間かかるだと覚えておいてください。

まとめ

次に該当する方は現住所登記(旧住所登記)をしてください。
□非耐火建築物で築年数が20年超えている物件で、
 耐震補強工事をして耐震基準適合証明書の取得をする予定の方
□売却するときの住所変更登記は自分でおこなう、
 もしくは費用は惜しまないので、役所に行く回数を減らして一日でも早く引き渡しを受けたい方
□契約から引き渡しまでの期間が短く、
 住所変更をしていると引渡日までに住宅ローン融資実行が間に合わないと想定される方

上記に当てはまらない場合は新住所登記でも現住所登記でもどちらでも構いません。個人的には新住所登記がおすすめですが、強要するものではありませんので、ご自身のニーズに合わせて選択してください。

本記事ではなるべく分かりやすいように説明をしたつもりではありますが、さらに詳しく教えてほしいという場合は株式会社イエツグまでお問い合わせください。司法書士事務所と提携しておりますので、お客様の現状に合わせて最適な登記方法をアドバイスいたします。

特に、耐震基準適合証明書の取得を目指している方は取り返しのつかないことになりかねますので、法務、税法に精通した不動産会社に仲介を依頼することが大切です。不動産の営業マンは不動産のプロであり、税務や法務のプロではありません。

ご自身の財産を守ってくれるのは、あなたです。せっかくいい物件を見つけても、最後の最後で失敗てしまったら元も子もありません。

売買契約を締結してから物件の引き渡しまでは最後まで気をひかず、一つずつ確実に進めていきたいものですね。

弊社株式会社イエツグでは不動産購入時の仲介手数料が定額18万2,900円(税別)と大変お安くなっております。

しかし、不動産のプロとして、お客様には最大限の利益を享受していただくために、私たちは日々知識、情報を収集しております。1つでもお客様のお役に立てることが我々の使命です。

ご相談、ご要望などございましたらお気軽にお問い合わせください。

株式会社イエツグ
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