中古マンションであれば、新築マンションでは諦めていた立地や広さ等について、家族やあなたの希望を叶えられる場合があります。一方で老朽化への対応など知っておかなければならない法律や判例もあります。昭和30年代後半から始まった住宅の高層化に伴い、中古マンションの建替えの問題は今後増加することが予想されています。
今回はマンションの購入をご検討されている方が気になるテーマである「マンションの建替え」について詳しくみていきましょう!

①マンションの寿命(耐用年数)と実態
②マンションの建替えの流れ
③建て替えに反対した区分所有者の保護
④まとめ

 

①マンションの寿命(耐用年数)と実態

そもそもマンションの寿命ってどのくらい?
鉄筋鉄骨造又は鉄骨造のマンションの住居の税法上の耐用年数は47年となっています。(国税庁)耐用年数とは、マンションで言えば47年を経て価値が0になるというもので、耐用年数が47年であるマンションを、例えば築20年経過して購入をしたとします。そうするとあと27年も耐用年数があり、安心して暮らせるようにも思えます。

ところが、実際に建替えられたマンション202件の寿命を某不動産専門のデータバンクが2014年に調査したところによると、全国平均で33.4年というデータになりました。もちろん、このデータは30年以上前に建てられたマンションの寿命になりますので、今日のマンションの建設の技術の向上や、コンクリートの質の変化及び建築後のメンテナンスに状況により、マンションの寿命は異なります。

②マンションの立替えの流れ

(住み続けたい区分所有者と、建て替えたい区分所有者)

では、マンションが老朽化して建替えたいと考えたとき、反対する区分所有者がいる場合どうなるのでしょうか。
老朽化がひどくなると改修費用が多額になってきますから、区分所有者が建替えたいと考えるのは当然ですし、老朽化したマンションは転売も困難となり、社会的経済的損失も大きくなります。一方で高齢などの理由により建替えのための一時転居が困難な区分所有者や、建替えに要する費用が負担できないため、建替えに反対する区分所有者が出てくることも容易に想定できます。
このような場合を想定して区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)は建替えに関する規定を置いていましたが、従前の規定では反対者がいるとなかなか建替えが出来ないという使い勝手の悪い規定となっていました。
そのため区分所有法は改正を経て、建替えに反対の者がいても一定の条件を満たせば建替えができるようになりました。

実際の建替えの流れとしては、まず集会を開いて「建替えの決議」をすることになります。その際の決議可決要件は、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の賛成をもって、「建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地もしくはその一部の土地、または当該建物の全部もしくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議」をすることです(区分所有法62条)。

③建て替えに反対した区分所有者の保護

区分所有法では、建替えに反対(または建替えに不参加)した者の区分所有権を、一定の手続きの下に強制的に時価で売り渡させることができるとしています。この場合、建替えに反対の者の区分所有権を買い受けるのは、新築されるマンションのデベロッパーや建設業者等になります。建替え決議が成立すると、建替えに反対の区分所有者には売り渡しを拒否する自由はありません(区分所有法63条)。区分所有権の買い取り金額は当事者の協議で決めることが原則となりますが、それでも決まらない場合には裁判所が決定することになります。

“憲法違反??”

このような流れを見ると建替えに反対した少数派の区分所有権が一方的に奪われ、財産権が侵害されるように見えます。そこで、このような規定は憲法違反ではないかと、裁判で争った事例が団地の一括建替えの事案でありました(最高平成21年4月23日判決)。裁判所は「老朽化等によって建替えの必要が生じた場合に、大多数の区分所有者が建替えの意思を有している場合に、一部の区分所有者が反対すれば建替えが出来ないとなると、良好かつ安全な住環境の確保や敷地の有効活用の支障となること、決議に反対した区分所有者には経済的手当てがされている(時価で買い取ってもらえる)」ことから、憲法違反ではないと判断しており、マンションの場合も同じ判断がなされるものと考えられます。

④まとめ

最後に、改正区分所有法では、建替え前の敷地を一部含めば、さらに広い敷地とすることも狭くすることも可能になりました。また、住居用のマンションの一部に事務所や店舗を含むようにすることもでき、時代や需要に合った建築物とすることで建物の価値が上がります。

しかし、マンションの区分所有者は、建替え決議がなされた場合には、終の棲家と考えて購入した中古マンションから、思いもかけず追い出されるリスクもあることを承知しておく必要があるでしょう。なお、建替え費用が負担できない場合には、新しい建物の区分所有権を諦め、建替えられたマンションに安い賃料で賃貸できるよう賃借権の設定を交渉し、住み慣れた場所で賃貸という形態で暮らすということも考えられるでしょう。

また、区分所有権を売り渡した者であっても、建物の明渡しにより生活上著しい困難を生ずるおそれがある場合には、裁判所に対して一年以内の明け渡しの猶予を申し立てることができる規定も置かれています(区分所有法63条5項)。

マンションの購入を検討すると同時に、出口戦略の一環となる建替えの問題についてお話をさせていただきました。戸建は所有者の意思一つで全てを決めることが出来ますが、マンションはそうはいきません。マンションという1つの建物を、区分所有者全員で決めていかなければならず、その意見を完全に一致させるということは、戸数が少ないマンションでない限り永遠にまとまるようなお話ではありません。終の棲家としてマンションを購入するのではあれば、せめて以下の点について事前に確認するべきかと思います。

・管理会社はどこに委託をしているのか
・定例総会や、臨時総会の議事録ではどのような議題があるのか
・修繕計画や将来の建替えの計画はどのようになっているのか

これらの事柄を購入前には確認をし、将来的に建替えの話しとなったとき、自らが議決権を行使する立場になって考えていくと、そのマンションを購入するかどうかという一つの判断材料になるかもしれませんね。不動産購入は購入当初に目がいってしまいがちですが、長期的なスパンで物事を考え、検討していきたいものですね。
参考文献:①マンションの判例解説 勁草書房 ②土地家屋の法律知識 自由国民社