「収入印紙」というものをご存知でしょうか。住民票や印鑑証明書を取得したときに登場するものを思い浮かべるかもしれませんが、あれは「収入証紙」です。「収入印紙」ではないことをお見知りおきください。
この記事では不動産売買に焦点を置き、収入印紙のご説明から課税額、貼り忘れた場合はどのようになるかなどをご説明いたします。
また、不動産の譲渡契約書や建築工事請負契約書に貼付する収入印紙の額は、現在、軽減措置の適用があり通常よりも安く契約文章を取り交わすことが可能ということも押さえていきましょう。

①収入印紙とは
②課税対象の文書とは
③印紙税額と軽減措置
④印紙税の負担者
⑤収入印紙を貼らなかった場合
⑥収入印紙を誤って貼ってしまった場合
⑦まとめ

 

①収入印紙とは

収入印紙とは、国庫の収入となる租税や手数料、その他の収入金の徴収のために、財務省が発行する証票です。この収入印紙は、課税文書を作成や発行した際に、その文書に貼付し消印をするという方法で納税するものになります。
ちなみに、最近では通販サイトで日用品の購入もしているという方も多いと思いますが、メールやダウンロードなど電子的な方法により領収書を相手に渡した場合においては、課税文書であっても印紙税はかかりません。ペーパーレス化が進めば、もしかしたらこの不動産収入印紙もかからなくなる日が来るかもしれませんね。

②課税対象の文書とは

課税対象となっている文章は、以下にありますように全部で20種類となっております。

非常に多くの課税文章がありますが、1の”不動産等の譲渡、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡、消費貸借、運送に関する契約書”の、「不動産等の譲渡」に関して詳しく見ていこうと思います。

③印紙税額と軽減措置

では、実際にどれくらいの印紙税がかかるのかをご説明していきます。
不動産を譲渡(売買)する場合、実は取引される不動産の金額によって印紙税は異なります。ここでの不動産の金額は、実際に売買契約書に記載される価格のことを指します。
まずは国税庁記載の一覧表をご覧ください。

このように、売買契約書に記載がある不動産の価格が高くなれば、それに伴い印紙税も高くなっていきます。また、税額の欄に「※マーク」の金額の記載がありますが、これは平成32年3月31日までの間に作成される契約書に関しての、減免措置適用後の金額となっております。

その他に注意しないといけない点としては、消費税課税業者から不動産を購入する場合です。個人以外の消費税課税業者である法人からその不動産を購入する場合、土地のみの売買においては消費税が掛かりませんが、建物も含めた売買においては建物の消費税がかかります。記載された契約金額に消費税の表記がある場合は、消費税を差し引いた金額が契約金額となります。

例えば、売買契約書記載の金額が5,100万円だったとします。また、平成32年3月31日までの間に作成された契約書だったとすると、通常であれば3万円の印紙税がかかります。しかし、実は建物の金額が2,000万円で消費税が160万円かかったとすると、課税対象金額は5,100万円-160万円=4,940万円となり、上記の表から印紙税は1万円であるということが分かります。通常、不動産売買契約書の原本を買主様がご所有されますので、買主様が負担すべき費用となります。どこの不動産会社でも印紙税に関して、しっかりと知識があるとは限りません。自分が損をしない為にも、上記のような基本事項は覚えていきたいものですね!

④印紙税の負担者

先ほど軽く触れましたが、不動産の実務では誰が原本を所有するかによって、印紙税の負担者が変わってきます。基本的に、買主様は住宅ローンを利用しその物件を購入するケースが多いです。融資のお申し込みをする場合、本申込時には売買契約書が必要となり、原本確認を求める金融機関もございます。必ず原本をお持ちいただきますので、当然印紙税の負担もあります。

一方、不動産を売却する場合には、税金関係の申請や申告をする際に必要になってきますので、原本をご所有していただきます。しかし、宅地建物取引業法上では、実は、原本を必ず保有しないといけないという決まりはないのです。
要するに、原本の写しを以て、売買契約書の書面に替えることが可能ということです。
そうすると、原本を所有しなければ印紙税が節約できると思われた方もいらっしゃると思います。確かにその通りです。

しかし、万が一その売買契約書の内容に関して、後日紛争が生じ裁判になった場合は、原本を所有している方は証拠力があり、反対に写ししか保有していない場合は証拠力が劣ると判断されてしまう可能性が大いにあります。よって、個人が売買契約書をお持ちいただく場合は、原本を保有された方が無難であると言えます。

例外としては、売主や買主が不動産業者である場合です。不動産業者は特に原本を必要としませんので、印紙を負担しないことが殆どです。
※売買契約書の写しに原本と相違ないことの証明する文言が記載されている場合は、印紙税法上、印紙を貼る必要がありますのでご注意ください。

⑤収入印紙を貼らなかった場合

印紙を故意に貼らなかった場合や、過失による貼り忘れをしてしまった場合においても、これはれっきとした「脱税」にあたり罰則があるのです。では、実際の額ですが、3つのケースに分類されますのでそれぞれ見ていきましょう。

1.印紙税未納の場合で、税務調査を受けて発覚した場合

→納付すべき印紙税額の3倍相当額の過怠税が徴収される。

2.自らの過失により、うっかり貼付するのを忘れ、後から申告した場合

→本来貼付すべき額の1.1倍が過怠税として徴収される。

3.売買契約書に貼付したのにも関わらず、消印をしなかった場合

→貼付した収入印紙の額に相当する過怠税が徴収される。

また、故意に貼付しなかった場合には、過怠税の他に懲役刑や罰金刑があります。3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金もしくは科料と定められておりますので、くれぐれもお気を付けください。

⑥収入印紙を誤って貼付しまった場合

収入印紙を間違えて貼付してしまった場合や、納付すべき額よりも多い金額のものを貼付してしまった場合、これらのことを過納金と言ったり誤納金と言ったります。これらの過誤納金は、対象となる文書を作成した日から5年以内に還付請求をすることによって取り戻すことが可能です。過誤納金が発覚したら忘れずに早めに還付請求しましょう。
それでは還付請求の方法について簡単ではありますがご説明いたします。

【申請する場所】

最寄りの税務署(持参もしくは郵送)

【必要書類】

・印紙税過誤納確認申請書(税務署もしくは国税庁のウェブサイトから用紙をダウンロード)
・還付請求の対象となる現文書
・印鑑

【手続きの流れ】

1.印紙税過誤納確認申請書記入
2.税務署へ申請書及び還付請求の対象となる文書を提出
3.書類等に不備が無ければ指定の銀行口座へご返金
還付に関してのご説明は以上となります。

⑦まとめ

今回は不動産を譲渡(売買)する目的で作成される文書である、売買契約書に貼付する印紙税について、的を絞ってご説明をさせていただきました。印紙税は不動産購入にかかる諸費用の中で言えば、額こそは小さいかもしれませんが、貼付する額の間違えや貼付のし忘れによる罰金などがありますので、必ず確認しておきたい事項だと思います。

実務上のお話になるのですが、住宅ローンを利用する場合、本申込の際には売買契約書に収入印紙が貼付されていないといけません。もちろん消印も無ければ銀行が認める契約文書とはならず、審査が進みません。住宅ローンの審査が承認するまでは、その物件に住めるかどうかはまだ分からないので、本承認をした後に、印紙に消印をしたいと仰られる方がいらっしゃいます。しかし、今お話をさせていただいたように、売買契約書に貼付し消印がない状態では、銀行によっては審査を受け付けないところもあります。

売買契約が成就するかは、実際に誰も分からないことなので、消印まではしたくないというお気持ちはわかりますが、万が一の時はでご説明したように過誤納金還付請求ができますので、売買契約を締結されましたら適正な額の収入印紙を貼付していただき、当事者間でしっかりと割印をしていただいた方が賢明かと思います。